贈歌

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 最初のうちは怖かった。  無口でぶっきらぼうの、素っ気ない厳ついおじさんが。  けれどそのうちすぐ慣れて、気安く悪態をつきあって。  朝が弱くて、家事の分担を怠けてばかりのおじさんと、気がつけばケンカばかりをしていましたね。  でも…  言い合いが高じて私が本当に怒った時。 『そう怒んなよ、美人が台無しだぞ』  そういって、思いきり頭をクシャクシャ撫でてくれるのがすごく嬉しくて…  えへへ、今だから言いますね。  あの、『クシャクシャッ』をして貰いたくて、わざとツンツンしていたの。    私達はそうやって、世間が好奇の目で見るようなこともなく、3年間、2人の空間を過ごしてきました。  なのに…
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