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その1-人間価値-
彼は何のとりえもないわけではないが、かと言ってこれといった特技があるわけでもない、持っている資格も中学の時に取った英検3級と高校の柔道部で取った初段くらいのもの
普段は一人暮らし故、自炊はできるがそれほど旨い飯が作れるわけでもないし手際がいいわけでもない
長々と語ったが、つまるところどこにでもいる普通の社会人である、別に彼はこれから異世界で冒険したりもしないし、何らかの理由で激変した世界を謎の能力に目覚め駆け抜けたりもしない
多少ドラマがあろうとも探せばどこにでもありそうな人生を過ごしていくのだろうし、最後のは彼自身もそう思っている、前者二つは本やアニメには疎い彼は想像もしないだろう
「あつい、なあ…」
彼は釣り糸を垂らしてぼうっと水平線の向こうを見つめていた
現在彼は田舎の実家に帰省中であり、特に目的もなく、しいて言えばのんびりするのが帰省の目的である彼は家のすぐ近くにある寂れた人の少ない釣り場の一ヵ所、それも彼が幼少のころに見つけたさらに人の来ない秘密の釣り場でのんびり時間を潰していた
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