第1章

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1隻の宇宙船が暗黒の大海原を航行していた。 その宇宙船の船長が通信士に声をかける。 「オイ! 無線機はまだ直らないのか? 持ち込んだ音楽は聞き飽きた、早くラジオが聞こえるようにしてくれ」 「頑張ってはいるのですけどね、仕方が無いでしょ! ボロすぎるのですよこの無線機」 そう言いながら通信士は無線機のスイッチを入れた。 その途端。 スピーカーから、あらゆる言語で唱えられる願いが迸る。 「勝利を我が手に! テストで100点取れますように。 子供が無事に生まれますように。 先輩と恋人同士にしてください。 妄想コンテストで大賞に選ばれますように。 あの子と結婚させてください。 あいつを早くくたばらせてください。 息子が無事帰ってきますように。 ………………お願いします。 …………お願いします。 ……お願いします。 お願いします」 通信士が慌ててスイッチを切る。 宇宙空間には、満天の星の中で生きる全ての生物が夜空に唱える願いで満ち溢れている、そのため無線機を使用する際は、フィルターで願いを除去しなければ役に立たないのであった。
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