夢一朝

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夢一朝

 ふと、目が覚める  この時、私の感覚というものは一部欠落していた  いや、起きたという感覚はあるのだが、触覚や嗅覚、味覚が無かった  しかし、この夢の中で一切物を口にしていないため味覚はあったのかもしれない  それに光景や音と違い、香りや感覚はなかなか具体的に思い返せないもの  まあ少なくとも『私』には想像しづらいものであるから『私』には知覚出来ないのかもしれない  そこが夢だと気づかないどころかそんな考えも浮かばず、かと言ってそこが現実だと感じているわけでもない不思議な感覚だった  最も、その感覚も夢の中の私といまこれを書いている『私』が同一人物ではないとすればそこまで不思議なことではない無いかもしれない  それにその方が夢があると私は思う  まあともかく、夢の中での私は特にその場所がどこだろうか、などとは考えなかった  しかし、そこが私の家だと認識したわけでも無いが、『私』が朝、目を覚ました時にいちいち「ああ、私の家だ」と思うことなど無いことを思うとそこまで不思議なことではない  前述のとおり私は私であって、『私』などでは無いのだから、『私』はそう考えたい     
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