もう一度、あなたに逢えたらー1

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店を出ると、私は駅まで一目散に走り出した。 勢いを失わないように、勇気が途切れてしまわないように、身体をいじめるようにして走った。 目指すのは彼の部屋。 こんな突撃をしたら迷惑かもしれない。 もう既に香子さんと一緒に住んでいるのかもしれない。 でも、そんなことを考えていたら、これまでの私から変われない。 あの二人の絆が強固なら、平凡女の来襲なんて蚊が一匹飛んできた程度のものだろう。 平凡なナツ。 もてないナツ。 みっともないナツ。 守りたいものなんて、私にはない。 門前払いされても、冷たくあしらわれても、このままさよならをするぐらいなら構わない。 お店はあいにく帰宅経路とは違う路線沿いだった。 車内でも走り出したいぐらい気が逸る。 電車を乗り換え、皆川さんの最寄り駅に着くと、まだ冬の寒さを残す夜空の下を走り出した。
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