赤身色の天井の下で

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赤血球大名は大きな頭を下げると「すまない」と野太い声で言った。 私としては、恐れ多いことであった。しかし、ここは一風邪菌の意地、なんとしてでも宴会を開かねばならない。 「やはり、酒宴を催しましょう。赤血球大名」 「! なぜだ? 今ご主人が熱を出して仕舞えば、会社での立場のため病体を無理に起こしてまで会社に向かってしまう。それではダメだ。我ら細胞が回復したところでご主人の精神に限界が来てしまう。 もう『やみ』も広がって来ている」 赤血球大名は必死になって酒宴を阻止しようとする。しかし私も譲れない。これは風邪菌としての責務である! 「これは、私が昔訪れた、ある人間の話でございます」 「なにを、言って」 「私がまだ風邪菌として生を受けひよっ子だった頃、私が感染した人間は皆様が主ユウイチ様と同じ様に苦しい社会生活に悩まされておいででした」 「、、、、、、」 「私は酒を振舞おうとすると、細胞達はそれを拒絶し肉体の維持に再度取り掛かりました。私は当時碌な経験も無いものでしたからそのままその人間の体を去って行きました」 「、、、、、、」 「しかし、それが大いなる間違いだったのです。その人間は程なくして大病を患いました」 「、、、、、、!」     
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