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空は、どこまでも青く澄みわたり、ところどころに銀色の雲がシュークリームのような形でポッカリと浮かんでいる。
ザ・ドが東に目をやると、その名の通りの東の峰が連なり、ひと際高いギーツ山の雪を冠った頂が白くクッキリと見える。
西に目をやると、これもその名の通りの西の山々が東の峰ほどには高くはないが連なっている。
南には、中央の峰が東の峰と連なっている。
北には、マート湾の青い海原が広がっている。
眼を下に向ければ、数十メル(1メルは約1メートル)下は、海岸線で、白く光る砂浜に青い海、波頭は見えない。
砂浜には砕けた波が白い泡沫を投げ出している。
陽は高く風は心地の良い微風で、潮の匂いを含んで幾分湿っぽい。
「良い天気ですね!」
ザ・ドは、横に並んで座っているザ・レに声をかけた。
「良い天気ですね、そろそろ腹もすきかけてきましたね。」
10天時(1天時は1時)にタカー市内のザ・ド卿の館を出て、北の海に出た今は、12天時近くになっているはずである。
ザ・ドはあたりに目をやって、「空飛ぶミートを捕まえましょう」と、ザ・レに言う。
「そう致しますか」ザ・レは操縦桿を握りながら応えた。
ザ・レは乗っている空飛ぶゴンドラのプロペラの回転数を上げるとともに、舵を上向きにした。
ゴンドラはその優雅な船体をゆすって速力を増して上昇し始めた。
数ミト(1ミトは1約1分)もしたころゴンドラは百メル程度に上昇している。
ザ・ドは、望遠鏡を使って周囲の空を注意深く見回した。
望遠鏡をやや上に向けたり、やや下に向けたりしていたが、やがてその動きが止まり、望遠鏡の倍率を高くしていく操作をしていたが、
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