序章

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 自刃して果てた三浦荒次郎義同の忘れ形見である一子 万徳丸は、下総国に逃れ、隠れ住んでいたが、やがて十 数年の歳月の後元服した。  幼い頃より養父に武道を厳しく教えられたが、中でも 剣術はかなりの腕前となっていた。12歳の時に継母が 死に、19歳の時にその養父も病死してしまった。一人 になったが、養父が息を引き取る前に言い残した「お前 の父のかたきは北条早雲だ」と聞いて、さらに自分の剣 の腕をあげるべく修行の旅に出て、いつの日か早雲を討 つ決心を抱いていた。名は養父から元服の時にもらった 新井与兵衛義興と名乗ることにした。
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