平等

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平等

 先月亡くなったおばあちゃんはとても公平な人で、上の子だから譲れとか下の子だから我慢しろとか、そういうことを一切言わない人だった。  おやつや臨時のお小遣いは総てきちんと分配し、何かを使う時もじゃけんなどで順番を決めて譲り合う。でもそのルールに押しつけがましいところはなくて、私と妹もおばあちゃんの言うことはいつもきちんと聞いていた。  そんなおばあちゃんの四十九日で伯父さんの家に行った。  お坊さんが来て色々お経を読み上げ、式の後親戚一同で外へ食事に行った。その時お店から、お子さん達にとお土産のお菓子をもらった。  私達姉妹といとこは合わせて七人。みんな嬉しくて、家に帰って早速箱を開けたのだけれど、お菓子は八個入りという、七人ではどうにも分けられない数だった。  最後の一つをどうするか。最初はいとこ全員で悩んでいたが、どうしても我欲が出て、誰もが自分が欲しいと言い出した。  今にも喧嘩が起こる。誰もがそう思った瞬間、仏間から大きな音がした。  みんな驚いて仏間に向かったが、変わったことは何一つ起きていない。だから今の方へ戻ったのだが、そこで全員があっと声を上げた。  奪い合おうとしていた八個目のお菓子が、どうしてか七等分に割れていたのだ。 「おばあちゃん…」  一人が口走ったその言葉に、みんな無言で頷いた。  そして、割れてないお菓子を一つ仏壇にお供えし、残りは七人で一つずつ分けた。  この件以来、いとこが集まった席でなくても、公平・平等が必要な場面では、うちの姉妹以外も、みんな、必ずきちんと話し合って理不尽ではない結果を得るようにしているという。  そうしないと、おあばちゃんが悲しむもんね。 平等…完
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