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握手会!
電話はキラキラフェアリーズのマネージャーからだった。
「もしもし?」
と、菜奈は電話に出た。
電話の向こうでは、マネージャーがどなっていた。
「菜奈、今日握手会あるんだけど、何で来ないんだよ?」
菜奈があわててスケジュール帳を確認すると、確かに今日の3時から"金山で握手会"と書いてある。
菜奈としては本当に珍しいことなのだが、日にちを間違えていたのだ。
「あと5分で来い!」
マネージャーはそういって電話を切った。
あわてて菜奈は金山へ向かったが、明治村から5分で着くわけがない。
ミチルもついて来てくれたが、二人が金山に着いたときにはもう6時を過ぎていて、ファン達はおろか、メンバー達も帰ってあたりは夕闇に包まれていた。
「どうしよう…」
と、菜奈は途方に暮れた。
ところが、意外なことにミチルが、
「菜奈。大丈夫だよ。」
と言った。
「え?」
「僕の腕をつかんで。」
菜奈がミチルの腕をつかむと、ミチルがステンレスボトルのキャップをカチッと回した。
少しの間キイイン…と音がした。
そして気がつくとまわりが明るくなっていて、二人は午後のまだ明るい金山に立っていた。
目の前ではメンバーが握手会の準備をはじめている。時計を見ると、信じがたいことに午後3時だ。
「さあ、行って。菜奈。」
ミチルが菜奈の背中を押した。
「え、ミチル、あなたって・・・?」
菜奈は後ろ髪を引かれる思いでメンバーの中へと入っていった。
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