あのバンドが解散するとき

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一曲目、二曲目、三曲目、とスリーマンズの止まる事の知らないスピーディな演奏がハイスピードで続けられる。 観客のボルテージもとどまることなく上がり続け、ステージ前に人間の群れが押し寄せている。 ステージ前の柵が壊れないか心配だが、もちろんそんなこと気にすることなく激しく演奏し続けるスリーマンズ。 スリーマンズと観客の脅し合いのようだ。 ちょうど五曲目が終了した時に、立て続けに続いた演奏がやっと止まった。 「ありがとう」 ボーカルはそう言うと近くに置いてあったペットボトルで水を飲んだ。 演奏が止まり、静かになった会場、耳にはキーンと言う高音が残っている。 ステージに押し寄せていた人の群れも一度後退し、疎らに戻った。 「すごいね。」 隣に立っていた彼女が言った。 「うん、すごい。」 僕は正直圧倒されていた。生演奏のスリーマンズがこんなにすごかったなんて。解散するのが勿体無い。 僕は彼女に会いに来た筈なのに、目的を忘れる程にライブに釘付けにさせられた。 「皆さんご存知の通り、スリーマンズは解散します。 今日が最後です。今まで活動してきて、今日が一番でかいステージです。     
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