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「お帰り、冠くん」
もう一度言うと、「ただいま」と呟いた彼が、また小さくキスをする。
「ナッちゃん、すごく会いたかった」
瞳を揺らす彼に、今度は私が小さくキスをする。
「うん。私も、会いたかった」
すると、今度は少しゆっくりと唇を塞いだ彼が、
「僕、ナッちゃんに会えなくて、すごく寂しかった」
本当に寂しそうな目をして、再び唇を重ねてくる。そして、
「私も、冠くんが帰って来てくれて嬉しい。
でも続きは、ご飯の後にしない?」
チュッとリップ音と共にキスが解かれた彼に、
ちょっと現実的な事を振ってみる。
しかし、
「うん――」
すんなりと頷いてくれたものの、
不運にも、これがこの夜の仇になってしまった。
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