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間違い電話
私のバッグの中で、携帯電話が小刻みに振動している。
会社から自宅へ帰宅して、バッグをソファに投げた瞬間だった。
今日は残業で疲れてしまって、食事も出来合いの物で済まそうとしていたのだ。
誰だろう?疲れてるし、お腹空いてるからご飯食べたいんだけど。
私は携帯の表示を見た。
誰?全く見知らぬ番号だった。
私は無視をしようと思ったけど、もしかしたら仕事の関係だったらどうしよう、
そう思い、おそるおそるボタンを押したのだ。
「はい、もしもし?」
「ああ!直美ちゃん!やっと通じた!」
聞き覚えのない、年配女性が興奮した声でそう言ったあと、さらに弾丸のようにしゃべり始めた。
「どこに行ってたの!お母さん、心配で心配で・・・。何で連絡くれなかったの?
お母さんがどれだけ心配してたか、わかっているの?」
むせび泣くような声がする。
「あのー、お掛け間違いじゃないですか?私、直美さんではありませんよ?」
この疲れてる時に間違い電話か。カンベンしてほしい。
「何言ってるの!この子は!お母さんをバカにしているの?
登録しているんだから、間違いようがないじゃない!
いくら私が機械音痴でも、登録番号に電話かけるくらい、できるわよ!」
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