間違い電話

1/9
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

間違い電話

私のバッグの中で、携帯電話が小刻みに振動している。 会社から自宅へ帰宅して、バッグをソファに投げた瞬間だった。 今日は残業で疲れてしまって、食事も出来合いの物で済まそうとしていたのだ。 誰だろう?疲れてるし、お腹空いてるからご飯食べたいんだけど。 私は携帯の表示を見た。 誰?全く見知らぬ番号だった。 私は無視をしようと思ったけど、もしかしたら仕事の関係だったらどうしよう、 そう思い、おそるおそるボタンを押したのだ。 「はい、もしもし?」 「ああ!直美ちゃん!やっと通じた!」 聞き覚えのない、年配女性が興奮した声でそう言ったあと、さらに弾丸のようにしゃべり始めた。 「どこに行ってたの!お母さん、心配で心配で・・・。何で連絡くれなかったの? お母さんがどれだけ心配してたか、わかっているの?」 むせび泣くような声がする。 「あのー、お掛け間違いじゃないですか?私、直美さんではありませんよ?」 この疲れてる時に間違い電話か。カンベンしてほしい。 「何言ってるの!この子は!お母さんをバカにしているの? 登録しているんだから、間違いようがないじゃない! いくら私が機械音痴でも、登録番号に電話かけるくらい、できるわよ!」     
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!