雫二滴:お嬢様の事情

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次の日。 ぴしゃぴしゃと水溜まりをスニーカーが跳ねていた。なるべく水溜まりは避けたいものだったが、徒歩通学ゆえに避けようはなかった。 家から学校までの道のりは、近くにある大きな噴水公園を通って、約二十分だ。 (昨日の夜中は ずっと、大雨だったわ) 季節は五月の末ということもあり、通学路の桜の木は、緑が生い茂っていた。 美雨は校門までの坂道を歩いていた。生徒でごった返している人混みの中から、美雨は、その人の姿を見つけた。 「あら、太郎くん」 と美雨が呼んだ相手は、美雨の方を振り返って 「…え?あ、ああ、美雨さん!」 と慌てた様子で挨拶した。
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