1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
サッカー部は朝練をしているはず。少しでもはやく中村先輩に会いたい。どんな反応をするかな。
グラウンドに中村先輩の姿が見えた!ちょうど朝練が終わった所かな。部室に引き上げようとしている。
グラウンドをダッシュで横切る。学校指定の革靴がうざい。スカートの裾も邪魔で仕方ない。
はぁ、はぁ。息を整える間ももったいない。
「中村先輩!」
中村先輩が振り返る。
「ん?誰?」
あれ?想像していた反応と違う。もっとこう前のめりな感じになると思ってた。
「中村先輩の知り合いですか?」
一緒にいたサッカー部の後輩らしい男子がいう。この男子も私に興味がないみたい。
「いや、知らない」
「ちょっとどいてくれる?」
その時、荷物を抱えた浅野先輩が後ろから私を押しのけた。
それをチャンスとばかりに中村先輩は部室の中に消える。
浅野先輩が通り過ぎる時、耳元で捨てるようにささやいた。
「私たち付き合ってるんだ。邪魔しないでくれない」
期待と違う反応。浅野先輩からの追い打ち。体の力が一気に抜けた。
はやく来すぎたなぁ。授業までまだ時間がある。一旦帰っちゃおうか。もう今日は休んじゃおうかな。あんまり眠れなかったし、体調もすぐれない。
重い足を引きずりながら校門に向った。
すると校門に見覚えがある姿があった。とおるくんだ。
最初のコメントを投稿しよう!