第1章 春が運んできた君に

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甲高い叫び声が聞こえて来たとほぼ同時に物凄い衝撃が美咲を襲う。 ドサッ・・・ 「・・いった・・・」 倒された美咲。その身体の上には黒髪をなびかせた美少女がまたがる。 「サキ!大丈夫かよ!?」 慌てて龍一が駆け寄ってくる 美咲は思わずその少女の美しさに魅入って言葉が出なくなった 美咲が今までに出会ったこともない、何やらわからない恐怖さえも感じてしまうほど顔の整った美しい 少女である。 「ちょ・・・どいて・・・」 起き上がろうと声をかけると途端に少女は自分の顔を美咲の顔に近づける。 美咲の顔をまじまじと見つめる少女は顔を真っ赤にして瞳を輝かせる 「咲花(さきか)!!!」 誰かはわからないが誰かの名前を大声で叫んで駆け寄ってくる 「いや!!!来ないで咲也(さくや)お兄様っっ!!!!」 馬乗りのままで少女は叫ぶ 咲花とはどうやら彼女の名前らしい。 「今日から咲花は高校生なんだぞ!きちんと高等部のしきたりに従ってもらわないと!!」 咲花という少女の兄という咲也という少年 さすが兄妹といったところだろうか。 背は高いが童顔。妹に負けず劣らずの美少年である。 「咲斗(さきと)は僕の運命の人じゃないもの!!!」 「もう決まったことだ!咲斗くんしかいないだろ!!」 美咲は咲花にまたがられたまま、ただ、その兄弟喧嘩?を傍観している。 言っている意味が全く理解できない。 龍一に至っては飽きてもはやスマホをいじりだす始末だ。 「・・・僕、決めたんだから!!!」 そう言い放つや否や咲花は美咲の頬に手を当てる 美咲は唇に桜の花びらが落ちるような感覚を覚えた 美少女の花びら舞い落ちるようなやさしい口づけは美咲と咲花の運命の契約の始まりであった。
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