いち!

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いち!

ガッシャーン!! 広い広い城中に響く音。 思い思い過ごしていたもの達は一体なんの騒ぎだとこの城で1番大きくて立派な扉の前へと集まります。 「入ってくるな。」 とたんにゾッとするような低く重い声が城を震わせて、それを耳にしたものは皆同じように身体を震わせた。 「魔王様がお怒りだ。」 「近頃、めっきりお部屋から出て来られない。」 「最近は勇者も現れんし・・・・・。きっと、退屈しておられるのだ。」 「我らが頑張らねば!!!」 「魔王様のために」 「魔王様のために」 扉の前に集まったもの達は口々にそう叫び散り散りになり、扉の前には再び静寂が訪れる。 その扉の奥、そこには。。。 恐ろしい牙に角。全身を毛で覆われてギラっと光る鋭い眼光。魔物たちが「我らが王」と崇め称える魔王が 床に手を付き、四つん這いの状態でそこにいた。 「マズイ。マズイマズイマスマイマズイマズイ。」 ブツブツと何事かを呟やく四つん這いの魔王の傍らにはなかなか見つからない勇者を探すため国王がさらに捜索の手を伸ばした。と書かれた記事がお気に入りの花瓶の破片と共にクシャクシャになった状態で落ちている。 「待て、扉の前にいたもの達はなんと言った?」 しばらく項垂れていた魔王だったが、突然立ち上がり、部屋の中をグルグルと回り始める。 バッサバッサと赤いマントを翻して歩くその姿は実にカッコイイ。 ・・・・・・黙っていたら、だが。 「何もなくて退屈?何を言っているんだアイツらは。退屈上等、平和が一番!!それなのに頑張るだと?何故わざわざ命を危険に・・・・・ハッ!もしや家臣たちは我が命をねら」 魔王が全てを言い終わらないうちに重た大きな扉が勢いよく開け放たれた。 「どーしてそうなるんですか、あなたは!!」 扉を開けた彼がそう問いかけた先には誰もおらず、彼は大きなため息をついた     
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