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星に願いを。
星に願いを。
人はいつからあの小さな、遠くの星に思いを託すようになったんだろう。どんなに手を伸ばしても届かない場所にいるその星にどうして縋りつこうと思ったのだろう。それは、きっと。
「どうか、私の想いに彼が気づくことがありませんように。」
小さく。けれども確実に夜空へと届けと祈るようにして口から出した言葉は重く私の心にのしかかる。
いつからとか。どうしてとか。そんなことはもう覚えてない。気づいたら目で追っていて、気づいたら彼の事ばかり考えていて、気づいたら彼の笑顔を見るたびにどうしょうもなく胸が高鳴った。気づく前から私は彼の側にいて。それは当たり前で、でも、それは永遠じゃない。
ソレに気づいたのは必然だった。だって私はずっと彼の事を彼のすぐそばで見ていたから。
私がいつも彼を目で追うように、彼はあの子を目で追った。
私がいつも彼を見て口元が緩んでしまうように。彼はあの子を見て幸せそうに微笑んだ。
「あんた、あの子のこと好きなんでしょ?」
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