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それからはもう誰も僕のところにはやってこなかった。
注文したはずのコーヒーすら来なかった。
僕の見る限り店内には一人も客はいない。
ウエイターの姿も見えない。
しかし僕の方もそれはそれで構わなかった。
もう誰とも話さなくていいような気がした。
窓の外は相変わらず横殴りの雨と、木の葉やら小さなゴミやらが風に舞っている。
時折、ハイハットのシャンシャンという音が聴こえてくる。
もう誰とも話さなくていい。
もう誰とも関わらなくていい。
そう思った。
少なくとも、この嵐が止むまでは。
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