第一章 ヤーモモ劇団の女座長 ヤーモモ誘拐される!

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「しかし、招待券は今日三枚使ってしまったから、残りは 二枚だけだよ. ひょっとすると父君と母君が行かれるかも知れないよ、一般 の入場券は今日の様子からしてもう残っていないよ。 ミ・シー残念だけれど、あきらめるしかないと思うよ」 「そんな!何か手を考えてよ、お兄様、ザ・レ様」 「まー、無理だと思うけれど、考え着くかどうかも含め 館に着いてからにしましょう」と御者台に座ったザ・レは 軽く馬に鞭をいれた。 ミ・シーの熱狂気味の心を乗せた馬車は軽快に走っています。 翌日、ザ・ドの寝室のドアを激しくたたく音がするのを未だ ベッドの中にいるザ・ドは眠気の残っている頭の中で聞いた。 「誰だよー!」と、ザ・ドは安眠を妨害する輩に腹立たしい 気持ちを込めて問いかけた。 「私よ!ミ・シーよ!ねったら起きて!」と、さらに強く ドアを叩きながらミ・シーは叫んだ。 「お兄様早く起きて大変なことが起きたんだから!昨夜、 ヤーモモが誰かに攫われたのよ!ねったら起きて!」 と、さらに強くドアを叩きながらミ・シーが叫んだ。 「何だって!ヤーモモが攫われた?昨夜?誰に?」 ザ・ドは正気をとり戻しながら訊いた。 「誰だかわかるわけないでしょう!劇場は大騒動になって いるらしいわ!」 「そのことをお前は誰に聞いたんだ?」と、ザ・ド。 「朝一番に市場に買い物に行ったミータが劇場の騒ぎを 聞きつけてきたのよ!」 「そうであれば間違いないな。ミータは今どこにいるんだ、 ミ・シー?」 「食堂で朝食の準備をしているわ」と、ミ・シーは応えた。 「よしっ、すぐ行くから、ミ・シーも食堂で待っていてくれ!」 ザ・ドは手早く着替えをして洗面もそこそこに食堂に入っていった。 「父上は?ミータ」 「朝一番に行政府の人が馬車で迎えにいらっしゃって、すぐに 乗って行かれました、ザ・ド様」 「そうか、わかった、とにかく朝食を下さい、ミータ」 ミータは熱いスープとパンを皿に取り分けてザ・ドの前に置いた。 「ヤーモモが攫われたことについて知っていることを話して ください、ミータ」 「いえ、私も詳しいことは知らないのです。 ただ、市場に出かけた時に劇場の方が騒がしいもので近寄って みると、劇団員らしい人たちが大声で騒いでいまして、ヤーモモが 攫われた、警備隊に連絡しろとか、
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