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夏の湿度と温度を含んだ風が、部屋の中まで吹き付ける
風は潮の香りも運んできた
遠くでは彼女がキャンバスに筆を滑らせる
迷いのない真っ直ぐな線
広がる海を描いてる
ここにいるよと主張するようなセミの声
浜辺を行き来する波の動き
彼女の筆は止まった
何を思い描いているのか
僕はピアノを弾くかのように指をヒラヒラ動かした
彼女はフッと笑顔をもらす
海に音が加わった
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