深海から見上げる夜空

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深海から見上げる夜空

 202x年、日本の最新鋭有人深海潜水艇がマリアナ海溝最深部に到達し詳細な海底調査を行った。しかし、この調査の中で最も重要なある発見については、最高機密として完全に隠された。他国が辿り着けない間に、それを独占してしまうために。  「本日から君の直属の上司となる月島一尉を連れてきた」  所長に月島と呼ばれた精悍な若者が、カーテン越しに声をかけた。  「月島浩平です」  ここは防衛省の研究施設の一つで、様々な新兵器の研究開発が行われている。月島が紹介されたその相手は、研究所には場違いな高校生ぐらいの美しい少女なのだが、今は配線だらけのヘッドギアと、体にも多数の電極を取り付けられ、裸で診察台のようなものに乗せられていた。  奥から出てきた女性研究員が、少女にシーツを被せてカーテンを少し開ける。  「瞳ちゃん、これからはあのイケメンのお兄さんと、外の世界で生活するのよ」  「すみません、寝たままで。山崎瞳です」  「彼女が桜弐号だ。それと開発主任の城山さん。桜弐号の私生活の世話もしていたから、日常の取扱も彼女から引継いでくれ」  紹介を終えて所長が出て行くと、城山が話しかけてきた。     
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