07 優しい彼

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「おじゃましまーす……」  奏多は遠慮がちに挨拶をして、玄関ドアをくぐった。  悠真の家はマンションだ。  彼の両親は共働きで日中不在と聞き、ほっとした。  悠真は玄関から入ってすぐ右側のドアを開けた。  そこが彼の自室らしい。 「どうぞ」 「おう」  悠真に入室を促されて、足を踏み入れた。  入った途端、くんと鼻をならした。 「お前の匂いだ」 「えっ、臭いですか?」  いつも落ち着いている悠真は、珍しく慌てふためいて窓を開け放った。
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