再会②

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だが、俺は間違っていた。 四年前、あっさりと彼女を離すべきでは無かった。 だって、現に俺は彼女を忘れられていないではないか。 彼女と距離をおいても、彼女以外の女を抱いても―― 彼女以上に俺の胸を揺るがす存在は現れなかった。 会わなければ、彼女の面影は消えていくと思っていたのに、より色濃く俺の中に染み込んだまま、時にそれは苦さを伴って俺を苛んだ。 俺は息を切らし、横殴りの雨を全身に浴びながら走る。 菊野に会うために。 もう一度、菊野に愛を告げる為に――
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