1459人が本棚に入れています
本棚に追加
/914ページ
司令部ビルの一番奥、三司令官室の更に先、総司令官室があり扉の前にやって来る。
「掃除は済んでいるのでご安心を」
リュカ先任上級曹長が、盗聴器の類を除去してあると報告する。色々とあるのだろう。
代わりに扉を開けてやり道を譲る。ワリーフを先頭にして皆が部屋に入った。
黒檀のデスク、カーテンが掛かった窓の前にちょっと老けたファードが座っている。
島は踵を鳴らして進み出ると姿勢を正して敬礼した。
「長らく顔も見せずに申し訳ありませんでした」
立ち上がるとファードも返礼する。
「 数え切れない苦難を乗り越えよくぞ生きて戻ってきてくれた。私はそれだけで嬉しいよ」
デスクを横切り歩み寄ると抱擁を交わす。
――少し痩せたかな。苦労を掛けた。
レティシアは裏切ったというが、島は微塵もそうは思っていない。
「また騒ぎを起こしに来ました、お叱りは幾らでもお受けします」
「なに、賑やかになって良いじゃないか。ここではなんだ、ワーヒドを貸し切りにしてある、食事をしながら話そう」
これまた懐かしい名前が出てきたと、島はゆっくりと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!