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その人は、俺の憧れだった。
「俺を、海賊にしてください」
その人の船に乗るのが夢だった。
その人のそばに居られるだけで、俺はすごい人間になれた気がした。
……でも、そうじゃなかった。
俺よりほんの少し早く、あの人のそばに居たヤツ。
アイツは、あの人のお気に入りだった。
俺の方が強いのに。
俺の方が役に立つのに。
俺の方がすごいのに。
それでもあの人は、アイツを可愛がった。
他のクルーも、アイツを可愛がった。
――俺は、それが心底許せなかった。
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