心を、あげる。

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ありふれた言葉も、浮かばない。 目の前で貴女が泣くから、僕は何も言えないでいる。 「フラれたの、先輩に。」 二年も付き合っていた先輩に突然別れを告げられた僕の幼なじみの真央。 わんわんと人目もはばからず泣いていたから、とりあえず近所の公園に連れていった。 ひくひくと苦しそうに涙を流す彼女にかける言葉が見つからず、何も進めないまま時が過ぎていく。 僕は、ずっと前から真央が好きだった。 今このタイミングで想いを告げてしまったら、どんな表情をするのだろう。 そんなことを考えてしまって、自己嫌悪に陥った。 泣くなよ。 いっぱい泣きなよ。 僕が側に居るよ。 僕なら真央を悲しませない。 言葉は溢れてくるのに、声にならない。 何を言っても、きっと今の彼女には届かない。
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