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「結局、お兄さんが亡くなってしまった真相はわからないままだったわ」
伸びていた木陰が次第にベンチを離れ、いつの間にか陽の光が身体に降り注がれていた。
「じゃあ、君の半分は、そのお兄さんで出来ているってことか。今までも、これからも」
話を聞き終わると、彼はまた視線を噴水に戻した。
ちょうど時計の長針が12で止まったからなのか、噴水は先ほどよりも空高く水を吹き出した。
「でも、お兄さんは私の中で生きている。そう思っているの。
そのおかげで貴方とも出会えたのだから」
しばらく彼は空を舞う水しぶきを眩しそうに眺め、それからゆっくりと口を開いた。
「なら、そのお兄さんに感謝しなくっちゃな」
その言葉には、全てを包み込むような優しさを含まれていて、緊張が一気にほどけていくのを感じた。
彼はそのまま立ち上がると、
「僕たちも水を触っていかないか」
と無邪気な笑顔でそう言った。
「もう、子供じゃないんだから」
そうして、二人でその場を後にした。
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