0人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「熊倉!」
「え?きゃっ!」
僕は優しく熊倉の肩を掴むつもりだったが、慌ててしまったせいで足を滑らせ、熊倉を押し倒す形になってしまった。
テーブルにぶつかった衝撃で、熊倉がいれてくれたお茶がカーペットにこぼれる。
ーーーーヤバい!
熊倉は僕に押し倒されたことに驚いて固まっている。
「あ、あの……」
パニックに陥った僕の頭に、クリスタの言葉が思い浮かんだ。
『キスからはじまる恋もあるっ!』
そうだ、キスをして告白だ!キスをしてーー
そんな二人の様子を、クリスタとエレナは虫メガネで見ていた。
「あぁ~もう、いいところなのにぃー!」
「どうしたんですか?クリスタ」
先ほどからそわそわと落ち着きのないクリスタを不思議に思い、エレナは訪ねた。
クリスタは真面目な顔で答えた。
「トイレがしたい!」
「早く行ってきてください」
「えぇ~でもぉ~……」
虫メガネから目が離せない様子のクリスタ。
だがしかし、ここで漏らされても困る。
「ここは私の家です。もし漏らしでもしたら、これで撃ち抜きますよ?」
エレナはボウガンを取り出した。
「行ってまいります!」
クリスタは敬礼をして、トイレに猛ダッシュした。
「まったく……」
苦笑して、エレナは再び虫メガネに視線を戻した。
最初のコメントを投稿しよう!