第3章 悠太の思い

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「ねえ、昂くん・・・昨日の手紙、何て書いてあったの?」 「ああ・・・どうやら、近々日本に来るみたいだよ。」 「フィリップ教授が?」 「うん。後は、ニューヨークに良い寿司屋が出来た、っていう報告があった位。特に何っていうほどでもなかったよ。」 「・・・そう。」 『一緒にアメリカに帰りましょう。』 最後に記してあったクダリは、あえて言わなかった。 そもそもオレにはその気がないし、アオイの浮かないを顔を見るのもイヤだったから。 でも、フィリップ教授から話をされているせいか、彼女の心配は尽きないようで・・・ 「昂くんは・・・どうしたいの?」 「どうしたい、って?」 「昔から、ずっと言ってたじゃない。アメリカの大学に行きたい、って。もし、今でもそう思っているのなら・・・」 「行かないよ。」 オレは、不安げに覗き込むアオイを見つめながら、きっぱりと言ってやった。 だって、オレには、まだ何も・・・ 「・・・へッ?」 「まだ、何も手に入れてないから。大事なモノをこっちに残したまま、アメリカには行かない。」 言葉とともに、チクリと胸が痛んだ。 どうにも出来ない、オレの思い・・・ アオイは、そんなオレを見つめながら、ホッとしたような顔で小さく息を吐いた。
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