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君と俺
高校受験を控えた俺と美咲は猛勉強をした。
美咲はさほど苦労はしていなかったようだったが、
俺はそれどころではなかった。特に英語がダメで何
度も教えてもらった。
「英語はどの高校でも必須だからね?」
「わかってるよ!だから勉強してんだ…」
美咲は俺の顔を覗きながら笑いかけた。
「頑張るね」
「そりゃあな……お前と同じ高校受験すんだから、
今の俺じゃギリギリなんだよ」
「……ねぇ……それって、義務感?」
「は?」
「いや、だからね……保護者としてかな?って…」
「……そ、そうだよ……」
美咲はしばらく見つめた後、ゆっくりと目を閉じて
「そっか」
と、言った。
この瞬間が何故かターニングポイントな気がした。
静かに何かの物語が終わっていく。
そんな物悲しい不安感。
まずい!まずい!まずい!
と、心で思っていても喉の奥に言葉が詰まって出て
こない。
それでも何かを言わなくてはいけない。
俺は心の奥から絞り出す。
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