一章

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あの娘が悪いのよ。 あの女によく似ていて美しい、あの娘が全て悪いのよ。 あの娘に会うまでは、全てが上手くいっていた。 私の母は、よく言っていた。 男は財力で価値が決まり、女は男の財力で価値が決まる。 男が愛の印に装飾品を渡し、それを身に付け、さらに愛されるのが女なのだ。 だから、財のある男と結婚するようにと、ことあるごとに言っていた。 私は、その言葉どおりに生きてきた。 父も母も高貴な出自で、一人娘の私をとても愛してくれた。 私が年頃になる頃には様々な装飾品やドレスを与えてくれた。 「おまえは、どんな女より賢く美しい。だから、高貴なお方と結婚出来るはずだ」 そう言っていつも期待し、信頼してくれていた。
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