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あの娘は、何処に隠していたのか、片方の靴を持って来ていた。
すました顔をして私や私の愛娘を通りすぎ、靴の片割れをを持っている城の使者に深々と頭を下げた。
そして、使者の持っていた靴と自分で持ってきた靴を揃えて履いてみせた。
靴はあの娘の足にピタリとはまり、そうあるのが当然だというほどに合っていた。
城の使者は歓喜し、何よりも驚いていた。
「今日は、素晴らしい日だ! 貴女が王子の探していた女性ですね! 王子が城で貴女のことを待っています」
私の可愛い娘達も驚き、二人で顔を見合せていた。
私は、呆然とそこに立って、後悔とも反省ともいえないようなことを考えているだけだった。
屋根裏の扉は古くなっていたから、非力な娘でも壊すことくらい出来たのだろう。
この娘が王子と結婚することを考えると、屋根裏に閉じ込めた時に本心を言ったのは間違いだった。
舞踏会で、娘達の結婚相手をもっと多く見つけておけば良かった。
そんなことばかりを考えていた。
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