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結城が成海の体を綺麗に拭いてやると、成海はそのままスゥっと眠ってしまった。
「あどけないよなぁ・・・・・・さっきと全然違うし」
結城が成海の寝顔を見ながら呟く。
薬を塗るだけのつもりが、こいつが煽るから我慢出来なくなっちゃったよ。ヤバイ、悠真にどやされる・・・・・・。まぁ、言わなきゃいっか。結城がタラーっと冷や汗をかいた。
成海にふとんをかけてやり、結城はパソコンを開いた。
「お、仁くんからメール来てる・・・・・・」
『怜の様子はどうだ? あいつは繊細で優し過ぎるから、壊れちまってないか心配だ。お前ら三人が帰ってから不思議な事にさ、こっちの方は空気が一新されたんだ。今まで覇気がなかった奴らには覇気が生まれた。みんな、怜に感化されたみたいに任務に就く姿勢が変わったんだ。マークや泰雅も躍起になって上層部とやりあってるよ。悠真が先頭に立って組織の仕組みを変えようとしてるんだろ? ・・・・・・あ、これはまだ言っちゃまずいのかな。何にしても、お前らのお陰で全てが前進していってる気がするよ。だから、こっちは大丈夫だから。怜の回復を祈ってる。祈るしか出来ねぇけど・・・・・・。そっちの様子も知らせてくれ』
「怜に感化されて、か。わずか十二歳のガキに? 情けねぇ話だな・・・・・・」
怜、お前の精神が遠くロサンゼルスの地に浸透してるぞ・・・・・・。ん? 悠真が先頭に立ってって、なんだ? あいつなんかやってんのか?
「仁くんに返事出しとくか。心配させちまったな・・・・・・」
結城は成海がようやく回復の兆しを見せた事、大地は相変わらず元気な事、自分も成海の世話を焼いてなんとか平静を保っている事を報告した。そして、最後にこう言葉を付けたした。
『ありがとう。色々迷惑かけて悪い。怜は必ず回復させる。だから、信じて待っててやってくれ。それから・・・・・・慌ただしくこっちに帰ってきちまったけど、俺達四人、仲間だ。遠く離れてても何かあれば必ず駆け付ける。それだけ、忘れんなよ』
メールを送信した。
「さて、悠真んとこもっかい行くか」
結城がパソコンを閉じ、部屋を後にした。
医務室に向かいながら、ここ何日かの大地の様子を思い返していた。
「そういや、夜中もずっと明かりついてたな・・・・・・一人で何やってんだあいつ」
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