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「ひよが大きくなるのを待つのは何度も気が遠くなったけど、ひよの成長を見ていくのは楽しかったな」
『あきら君!こんどのおゆうぎ会で、ひよ、シンデレラやるの!ぜったいにみにきてね!』
『あぁ、勿論』
『ひよ、明日から小学生になるの!100人、お友だち作るの!』
『おめでとう。頑張ってね』
『身長が去年より五センチも伸びたの!』
『ひよ、大きくなったね』
ひよと過ごす毎日。
俺は勉強したり、家事を覚えたり、自分のスキルをひよのために磨いた。
本当に毎日が充実していた。
だが、小学校三年になると、ついにひよが一緒に遊んでとせがまなくなってしまった。
寂しい…寂しすぎる……。
こうなることは、成長過程で仕方の無いことなのか……。
寂しさを埋めるため、カーテンの隙間からひよの部屋の様子を窺う時間も増えた。
写真を取る枚数も日に日に増えていく。
部屋はひよの写真だらけになっている。
「そこからは暫く寂しくカーテンの隙間からひよの様子を窺う時間も増えて、写真を撮るペースも日々上がっていったよ。だから少しでも会いたくて、毎朝ひよと鉢合わせるように家を出てた。毎朝ひよと挨拶するのが、あの時の俺の生きる糧だった」
暁君は昔を思い出したのか、切な気に笑った。
傍目から見れば哀愁漂ってて絵になる雰囲気の暁君だけれど、言ってる事はとてつもなく怖ろしいんだけども……。
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