2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
中古車
最近中古車を買ったのだが、どうもこの車、何かが憑りついているらしい。
運転席に座ると必ず、『注意して』という声が聞こえる。それで一旦車内を見回すのだが、おかしな様子は何もない。だからエンジンをかけようとすると、またどこからか『注意して』と聞こえてくる。それで一旦車を下り、車外の様子を確認すると、それでようやく声は聞こえなくなる。
車のディーラーは何も言わなかったが、絶対コイツは事故車に違いない。そう確信して店に抗議しに行ったのだが、絶対に事故はなかったと向う言い張る。
埒があかないので、せめて中古になった経歴を聞かせてほしいと頼んだら、中古車といっても前に乗っていたのは一人だけだが、その人が高齢で免許を返上することになったため、車も不要になった。ただ、優良ドライバーで通っていた人だから、間違っても事故はなかったと教えられた。
…あやしい。
ディーラーの話が嘘ではないとしても、前の持ち主か事故を隠している可能性は充分にある。
どうにかその人と連絡を取ることができないか。そう思っていた俺に奇跡が起きた。
店から帰ろうとした俺の車の側に一人老人が立っていた。その人を見た瞬間何故かピンときて、俺は老人に、もしやこの車の前の持ち主の方ですかと尋ねていた。
最初のコメントを投稿しよう!