13人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
彼方は時間を確認する。
08:27
点けたままだったテレビでは
天気予報をやっていた。
キャスターがこの後雨が降る事を伝え、
「青野川での花火は延期になるかもしれません」
とわざとらしく嘆いている。
そんな事よりも美左の事が心配だった。
一刻も早く見つけなくてはならない。
しかし、彼女はどこに居る…?
その時、テーブルの上に置かれた
“交換日記”が目に入る。
その時、美右の言葉が蘇った。
――失敬な!一回返事くれたもん!
そうだ、美左は一度返事を書いたのだ。
ヒントになるかどうか分からない。
しかし、彼女の事を探してあげたかった。
文字の連なる右側のページに対して
左側には白紙が連なる。
それでも彼方は懸命にページをめくり続けた。
………………………………………………………
灰色の空の元、彼方は丘の上を上っている。
さっきまで降っていた雨のせいで
地面が滑りそうだった。
美左はココに居る。
自信があった。
最初のコメントを投稿しよう!