chapter.1

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彼方は時間を確認する。 08:27 点けたままだったテレビでは 天気予報をやっていた。 キャスターがこの後雨が降る事を伝え、 「青野川での花火は延期になるかもしれません」 とわざとらしく嘆いている。 そんな事よりも美左の事が心配だった。 一刻も早く見つけなくてはならない。 しかし、彼女はどこに居る…? その時、テーブルの上に置かれた “交換日記”が目に入る。 その時、美右の言葉が蘇った。 ――失敬な!一回返事くれたもん! そうだ、美左は一度返事を書いたのだ。 ヒントになるかどうか分からない。 しかし、彼女の事を探してあげたかった。 文字の連なる右側のページに対して 左側には白紙が連なる。 それでも彼方は懸命にページをめくり続けた。 ……………………………………………………… 灰色の空の元、彼方は丘の上を上っている。 さっきまで降っていた雨のせいで 地面が滑りそうだった。 美左はココに居る。 自信があった。
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