初日

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 介護ボランティアの旅費、宿泊費は自己負担である。それに、教職免許を取る人が履修する単位としての介護実習でもないため、介護を学べる学校には通っていないが介護に対する論文を書く人や深く介護を学びたいという人、とにかく意識が高い人が集まっている。  はあ、と美花はホテルのベッドにうっ伏してごろりと寝転がった。ぼんやりしながらもらった資料を流し読みする。  大学がある美花の住む町から県内とはいえ遠い所にある施設に配属されてしまったから、美花はあと四日ホテルで過ごさなくてはいけない。  施設からの帰り際、あとの四人に食事に誘われたけど、断った。そんな気分じゃなかった。けれど行けばよかったと思った。下宿先のアパートの明かりをちゃんと消したか気になって仕方がない。そしてそんな自分にも苛立った。  美花はふとスマホを手に取った。デスクトップに「新着メール一件」の文字がある。  送信元は、母親だった。 「就活、どう? 上手くいってる?」  昨日喧嘩したことが嘘のような、そんなそっけない、あまりにもいつも通りな文面だった。美花の目は怒気を含み、メールを開封せぬままスマホの電源を切った。母親のメール、電話、すべてを拒絶したかったのだ。でも、美花は見誤った。受信メール一覧から見られる本文は少ないが、本文の最後にあるはずの--end--の一行が、母親からのメールには見られなかった。
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