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「今夜から付き合う?」
「?! いやいや。少し考える時間下さい。」
「あげてもいいけど、今とそんなに変わんない関係だと思うよ?」
「えー!! 変わるでしょ? 彼氏彼女だよ?」
「週何回か会って、ご飯一緒に食べたりする。ほら、今と一緒。変わんないだろ?」
「そうなの?!」
「そうだよ。関係が恋人っていう人に見えるものに変わるだけ。ま。その内、夫婦ってのにかわるけどね。俺は…、お前と恋人になったら手放す気なんてもう無いから。これだけは言っておく。覚悟しろよ? と、言う訳で結婚前提で付き合って下さい。」ニコッ。
ぐはっ。
やってくれるわー。何? この男は!
手放す気ないって!
何処のイケメンよ?
というか、マサキってこんな粘着系男子だったの?
ハエトリソウとか蜘蛛の糸?
蜘蛛の糸…。くものいと。
はっ! 私、絡め取られたの?!
なんか、もう逃げられないような気がする。
逃げられないように私に気付かせたのね!
「ズルい!」
「ん? 何がズルいんだ?」
「だって、私が逃げられないようにしてる!」
「当たり前だろ? 俺の覚悟を知れ。全力でお前を俺のものにするって覚悟で今日誘ったんだから。逃げ道なんか作ってやんないに決まってんだろ。だから、YESって言って? ほら☆」
「うっ。」
マサキの手が私に触れる。
「誰よりも愛してる。」
優しく握ったかと思うと手の甲にキスを落とした。
「あ。」
上目遣いで私を見る瞳は真剣で、
「俺はお前の隣で共に歩み続けたい。」
「…。」
ここが居酒屋だってことすら忘れて、
「もう、俺に囚われてよ? 他の誰でもなく、俺のものになって? 俺はお前のものになるから。」
「ほんと、ズルすぎだよ。私のツボ押さえ過ぎじゃない?」
「そりゃ、こんだけ一緒にいりゃわかるさ。」
ダメだ。
「…。はい。よろしくお願いいたします…。」
私、落ちちゃったみたい。
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