フウセンカズラ

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私はあの日、いつものように地下鉄に乗った。 それは当たり前のことで まるでコンビニで買い物をするように自然なこと。 その行動になんの疑いも迷いもなかった。 生活でミサイルに当たる心配を毎日するだろうか? 多分、そういう事だ。 まるで傀儡で操られているかのように、一定のリズ ムで地下鉄へ次々に吸い込まれていく人々。 今日も満員。 朝のラッシュ時ともなれば当たり前だ。 「はうわっ……」 座ることもできずに、人の壁に押し潰される。 こういう時は 扉側の角に挟まるのが一番良い。 少なくとも270°の方角は心配しなくてすむから…… あとは闇を眺めていれば 目的地に着く。 いつものように地下鉄は走り、次の駅へ。 プシューッ! 恒例の音を立てて扉が開く。 そう私側の扉が……。 こういう時、小さい体格で良かったと思う。
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