機密情報守秘協定

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機密情報守秘協定

あの、地下鉄に乗っていたように、乗り続けていたように、社会から見離され、自ら命を絶とうとした姉妹。その姉妹を救った、いや、利用したといった方がいいかもしれない集団。独立行政委員会 国立再生治療先端科学研究所 第66研究室、通称、チームサイボーグ。内外の批判が強くなることを避けるべく、自衛隊に吸収され、高度国際紛争問題研究・解決・処理本部 中央管制隊として、再起動することとなった。ただ、内容は変わらず、当初のままの「遺伝等による歩行困難、視聴覚疾患の画期的治療技術の提供元機関」としての位置づけである。 以下、日本のインターネットテレビ局であり、我々が所属する「ITV」が、今回の件について、アメリカ国家安全保障局(NSA)へレポートした内容(抜粋)を記述する。 第1回目の実績が、前章の「東京都新宿区内喫茶店 爆弾犯立てこもり事件」。11人の人質全員無事救出という輝かしいものではあるが、多くの課題も残した。最も議論されたのが、この部分。 「(補佐官)サイボーグですよっ、サイボーグッ」 「(所長)あの、あれか、ちらっとは見たが」 「(補佐官)やってもらいましょう、所長っ」 「(所長)・・・」 「(主任)私からも」 「(所長)わかりました。サイボーグ、お願いします」 copyright National Security Agency(NSA) 2066 All rights reserved. copyright Internet TV,Inc.(ITV) 2066 All rights reserved. 確かに、第66研究室のデータが、警察のヘリのパイロットに漏洩したのは、たとえ、それが我々と同じ身内であるという理解の前でも、言語道断である。 今回の件で、その点については、つまり、身内である警察に情報が漏洩していたことが明白になったことは、幸いである。だが、問題は、ここではない。事件当時、責任的立場にあった者が、自身の裁量を逸脱する言動・行動をしたこと。しかも、それが複数名いたことだ。このままでは、職務遂行における指揮命令系統に大きく影響を及ぼすため、関係者については、特例措置による異動とし、内閣の指示で、主務大臣が発令した。 なお、今回の人事異動は、内閣直属の独立行政委員会である国立再生治療先端科学研究所を手厚く保護しようとする動きであることは、否めない。
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