友人とカフェで

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友人とカフェで

今日もいい天気だ、と、思う。だからそこらで買った人形の目をまたいつものようにえぐったりしてみるのだが、数分も経たずにドアの呼び出し音が鳴るので、しぶしぶながら中断する。人形は好きだが、そのままでは部屋に置いておけないのだ……落ちつかないし、優しくできない。ついでに言うと置くのでもない、吊るすのだ。天井から。 気がつくと僕は友人の、確か学校でいつも隣にいたようなやつとカフェにいるのだが、僕は一体何を注文したのだろう。まだテーブルの上には何も来ていない。 「ここ入るの初めてだな」 相手が言うが、僕はこいつの名前をなんとかして思い出そうとしていて、たぶん頭文字が“は”だったような気がしているのだが、そんなわけで「へー」という適当な受け答えしかできない。ついでにメニューにちらっと目を向け、コーヒー1杯が500円もすることに愕然としている。 「俺も最近カフェでバイト始めたんだぜ。駅前のとこ、行ったことある?」 ハヤシだ。こいつの名前はハヤシ。 「ない。そのうち行ってみようかなって思ってる」     
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