第五歩 煌めく

7/8
26人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
「俺、嬉しかったんですよ。早川さんとやりとりするのとても楽しかったし、もっと仲良くなりたいと思ってたから」  コーヒーを一口飲んだ田端さんは、そう言って続けた。 「みちるって呼んでいいかって聞かれた時に、早川さんも俺と仲良くしたいと思ってくれてるのかなって。だから、思い切って今日も誘えたし、先輩のことでしか連絡しずらかったけど、話すきっかけが増えるかもって」  その言葉にハッとする。  下を向いていた顔を上げ、田端さんの顔を捉えて、それからどきりと胸が高鳴った。 「田端さ……満君」 「はい」 「私も、私もそう思ってました。そうじゃなかったら、無意識に電話なんてしない」  満君の顔は、はっきりと分かるくらい真っ赤に染まっていたのだ。  そんな顔をさせている原因が自分にあると分かると、いてもたってもいられなかった。  そして、しまったとその場で固まる。 「無意識、だったんですか?……嬉しい」  顔を見つめたまま固まったから、心底嬉しそうに頰を緩める満君がしっかりと見えてしまった。  
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!