第9章 好きだから……

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ふたりの気持ちは有難い。 でも、俺はやっぱり……確かめに行きたい。 誉が嘘を言う筈はないし、確かめたところで、事実を目にして、また気持ちが辛くなるのも、目に見えてる。 それでも……行って、確かめて…そうして、ちゃんと向き合うんだ。 向き合った上で、俺が出来ることを見付けたい。 「ひとりで…平気だ。熱がある訳じゃねぇし、それに…」 その先の言葉を飲み込む。 「そっかー…じゃあ、具合悪くて早退したって担任に言っとくよ~!ほら、誉っ!蒼ちゃんの荷物持って来てよ!」 「……本当に、ひとりで平気か?」 誉が俺の顔を見る。 「…おうっ!」 「分かった…今取って来る。それはそうと……友也、いい加減蒼から離れろっ!」 やっと誉が渋谷を制する言葉を告げた。 「…えーーー…抱き心地良いのになぁ~蒼ちゃん。丁度、俺の腕に収まるし?」 そして、またぎゅーっと俺を抱きしめる腕に力を入れる。 「…桐生が戻って来たら、友也が蒼に纏わり付いてたって、報告するぞ?…友也より、俺の方が桐生の信用あるからな、どんな制裁が下されるか、楽しみだな?」 「……へぇー…そういうこと言うんだ?いいよぉ~そしたら、蒼ちゃんに庇って貰うからっ!ただのスキンシップだってね!大和は蒼ちゃんに甘いから、蒼ちゃんの言葉は信じるでしょっ!」 ……このふたり……本当に元に戻ったのか? 火花がバチバチしてる気が…… 「…チッ!…後で覚えてろよ、友也」 そう捨て台詞を言い放ち、誉が階段を上ってく。 その誉の背中に向かって、 「望むところだしっ!」 負けん気の渋谷がそう言った。 「…泣くまで犯してやる…」 それに返した誉の言葉に、渋谷の口角が上がったのを、俺はバッチリ目にしてしまった。 …成程な…… 「人をダシにして、誉の嫉妬心を煽るなよっ!巻き込まれる俺の身にもなりやがれっ!」 誉の姿が消えて直ぐに、俺を羽交い締めにしていた、渋谷の腕が解かれる。
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