アークス

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彼が彼女達を十夜に退避させたのは、危険だからでは無いーーー その凄惨な光景を、見せない為だー 罹患者とは言え、同じ人間を無惨に殺す姿を ダークナイツという者達の、闇の一部を 「…無理ねぇか」 床に突っ伏し嘔吐する十夜を見て、鴫田は呟いた この光景を十夜に見せることも彼の目的の一つであった ダークナイツとして戦うのに最も必要な要素 力でも技でも無い 人間を殺す覚悟ーー それを補わねば、到底ダークナイツになどなれないということを教えたかったのだ だがーー 「くっ、クク…ぉえっ!ハハッ!」 「………!」 十夜は嘔吐しながらも、笑っていた 「…おい、大丈夫かよ」 「…鴫田さん」 「…?」 「俺にもそんな力が手に入りますかね??」 鴫田の心配を他所に、十夜の思考は全く別の所にあった 「…ダークナイツになったらな」 「…へっ、なら尚更早くならないと」 ブルッ… (……俺が…身震いした…?) その眼に、ダークナイツとして、数多の人間を殺めてきたはずの鴫田でさえ、戦慄した 十夜の中に深く根を張る憎悪 そして憤怒ーーー 彼がもしダークナイツになったら…一体どうなるのか… そんな事を、考えてしまっていた
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