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俺は水川レキ、高校一年だ。
今日は、地下鉄に乗って里帰りをしようとしている途中だ。
ホームに続く階段を降りきると……
「すみませんっ! 通して!」
黒のショートカット、小さい顔にパッチりとした目……まぁ多分中学生だろうと思う女子が閉まりかけの扉から慌てた様子で出て来た。
更に、その女子はこちらに向かって駆け寄って来た。
辺りにいる客は、迷惑だなと言わんばかりに睨みながら遠巻きに見ている。
ここはぶつかるというのがお約束だろうが、俺はヒョイと避ける。
するとその女子は、俺の後ろにある階段に見事にぶつかった。
「いったぁ……」
「………大丈夫か?」
派手にぶつかったので心配になったが、その女子はスクッと立ち上がって僅かに微笑んだ。
「私やったら、大丈夫!! ……レキ!!」
その女子は、何故か俺の名前を呼んだ。
しかも、きらきらとした期待の眼差しで…
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