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出会い
さて、彼からのLINEはなんだと思い、携帯画面をスライドさせて開く。
「今夜、仕事終わったあとどうかな?」
もうここで私の妄想のエンジンは全開にかかるわけだ。
ああもう!今日彼に会えるの?!うれしい!彼と会うのは二週間ぶりだなあ。髪の毛切ったこと褒めてくれるかな!!
その反面、なぜ今日の格好がこんなにダサいのか、化粧が薄めなのか、香水を持ってこなかったのかという様々な後悔の嵐が押し寄せるわけだが、それさえも吹き飛ばす彼からの連絡はサンサンと照る太陽のようなのだ。それほどまでに私は彼に恋をしている。
彼と出会ったのは2年前の春ごろ。私がまだ関西に住んでいる学生の時の話だ。アルバイトで、いわゆる飲み屋のねぇちゃんをやっていたわけだが、彼はそのときのお客様だ。サラリーマンで13歳も上の彼は、転勤で関西配属になった彼は、暇を持て余してねぇちゃんたちのいる私のお店にきた。そして一言「一目ぼれした」というのだ。
正直一目ぼれしましたというのは、店内で言われることはもちろん、街を歩いていても声をかけられることはあった。そのたびに軽くあしらって断ってきた私だったが、彼の一言には断れない力があった。密かに私も惹かれていたのだろう。結局のところ私も彼に一目ぼれしていたと言っても過言ではない。
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