半分を私に

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「赤木くん、帰ろう?」 ニコリと彼に問いかけると、彼は「あぁ」と間の抜けた声を出して、返事をしてくれた。 大丈夫。ちゃんとこっちを見てくれるようになる。 帰り道を歩く。会話はない。でも、彼が一緒に帰ることを許してくれている。彼とこの時間を分け合えるのは、今、私だけだ。 「あれ、緒方?」 彼の表情が明るくなった。 あ、百々ちゃんと吹雪ちゃんだ。緒方百々歌(おがたももか)と結城雪吹(ゆうきふぶき)。隣のクラスの女子で、赤木くんとは同じクラスだ。 百々ちゃんも赤木くんを見ると笑顔を見せた。 「おっす!」 「お前ら何しに行くの?」 「カラオケ!」 ニコリとした百々ちゃんの笑顔は、誰もが惹かれる。学年でも先生でも後輩の一、二年生でも評判が良い。 「喉潰すなよ?」 「喉強いのでご心配なく」 冗談でからかう赤木くんに、ニヤリと笑いながら言葉遊びを楽しむ百々ちゃん。
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