2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「赤木くん、帰ろう?」
ニコリと彼に問いかけると、彼は「あぁ」と間の抜けた声を出して、返事をしてくれた。
大丈夫。ちゃんとこっちを見てくれるようになる。
帰り道を歩く。会話はない。でも、彼が一緒に帰ることを許してくれている。彼とこの時間を分け合えるのは、今、私だけだ。
「あれ、緒方?」
彼の表情が明るくなった。
あ、百々ちゃんと吹雪ちゃんだ。緒方百々歌(おがたももか)と結城雪吹(ゆうきふぶき)。隣のクラスの女子で、赤木くんとは同じクラスだ。
百々ちゃんも赤木くんを見ると笑顔を見せた。
「おっす!」
「お前ら何しに行くの?」
「カラオケ!」
ニコリとした百々ちゃんの笑顔は、誰もが惹かれる。学年でも先生でも後輩の一、二年生でも評判が良い。
「喉潰すなよ?」
「喉強いのでご心配なく」
冗談でからかう赤木くんに、ニヤリと笑いながら言葉遊びを楽しむ百々ちゃん。
最初のコメントを投稿しよう!