不愉快なモーニングMiss

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「私、もうかけないから」 「えー。それは残念だなぁ」 そんなことを言って、すでに頭では彼女の拗ね顔を見るための新しい作戦を練っているに違いない。 こいつはそういう男である。 長い春休みを迎える前まで、康宏にそのような相手がいる素振りはなかった。 バイト先の塾が大変な状況になっていて、今まで以上に仕事が忙しいと聞いていたから、しばらく彼とは会う機会も作れなかった。 こちらから連絡しても返信が来るのは遅かったし、本当に忙しいのだと思っていた。 私が遠慮している隙に知らない女が抜け駆けしていたなんて、悔しくて仕方がない。 「その人と付き合ってどれくらいなの?」 私の質問に、康宏は軽い感じで答えた。 「一緒に暮らしてるけど、付き合ってはないよ」 「え、なにそれ」 今朝の態度からしても、彼が彼女に本気であるのは間違いない。 ということは。 「俺の片想いなんだよね。なんか、彼氏いるっぽいし」 「はぁ!?」 別に本命の男がいるにもかかわらず、康宏の好意に付け込んで一緒に暮らしているなんて、いったいどんなビッチだ。 どれほどイイ女なのかは知らないが、そんなゲス女より私の方が絶対いいに決まっている。 「仕方ないじゃん? 俺の方が好きになっちゃったし」 「仕方ないって……」 「ま、俺なりに頑張るわ」 頑張らなくていい。 そんな女はさっさと捨てて、私と新しい関係を築いた方がずっと幸せになれるはずだ。 仕方ない。 ここはひとつ、私が動いた方がよさそうだ。 私はこれまでに何度も彼からしょうもない女を追い払ってきた。 彼は本気であるようだが、クソビッチなんかに彼を取られてたまるか。 私と康宏は、そんじょそこらの男女とは絆が違うのだ。
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